since 2015 DEC / from OSAKA JPN
大量生産の規格的工業製品が主流になり、手仕事で生み出される「ホンモノ」の木や畳、襖など元来、日常的に使っていた素材が特別なものになりつつある。 そして、作り手である職人が年を追うごとに減少している。使い手は、作り手の顔が見えることでより愛着を持って使い続ける価値のあるものを選ぶ。 作り手は、使い手を知ることでより良質なものづくりを目指し、技術継承の糧にもなる。 これまで「普通」に使われてきた優れた技術や素晴らしい素材と、それを使い続けてきた日本の文化が、特別なものになったり、 途絶えてしまうのが惜しすぎて、今ならまだ間に合うと信じてスタートさせました。
器プロジェクトは、日本の文化や伝統工芸、イノベーションに強い関心を持つ、職人、クリエーター、イノベーターなど様々な分野の プロフェッショナルが集う多国籍のオープンネットワークです。 私たちのゴールは、減少している和建築職人の「ホンモノ」志向の技術を発信することでマーケットを持続させることです。 そのために、業界や業種を超えたメンバーによって、再生修復や再利用可能であるサスティナブルな和室を現代や未来にも活かせるよう 再構築し、切り口を変えて発信していきます。一人でも多くの方に新しい和室空間で過ごして頂き、手仕事技術に興味をもっていただきたいなと願います。
2015年より大阪で和室空間「器」を開発発表しました。関西を中心に様々なイベントやワークショップを開催。 2018年からは海外のマーケットも視野に入れ、モダンな建築デザインが特徴であり、かつ木工職人の技術が高度なドイツにも拠点を置きました。 2020年には現地職人を中心として和室空間「器(UTSUWA)」の試作を開発発表しました。 2021年に日独メンバーによる実行委員会を立ち上げ、 同年12月にプロジェクト初となる国際フォーラムを開催。 日本とドイツ双方の職人やデザイナーが意見交換しました。
可動式日本間「器」(UTSUWA)。開発者の建築家・内田利惠子氏や、製作に関わった職人たちへのインタビューから導き出したキーワードをもとに、「器」を舞台とする戯曲を創造する。
【目次】
第一部 「和室」という幻想、そして復讐
・「器」と出会う
・「縮減模型」の幻想
・木の好きな建築設計士・内田利惠子
・木と空間と時間─木工職人・前田秀幸
・「風」に囲まれる日常─表具師・中野泰仁・智佳子
・消滅してゆく「時間」─畳製作技能士・大江俊幸
・大量生産の中で暮らせば、人も枯れる─ステンドグラス作家・和田友良
・和室という問題意識
・「和室」を見る目
・復讐
第二部 どのような戯曲にするのか
第三部 戯曲「器」